ロックダウン中たばこ禁止の南アフリカでバイラルになった音楽をご紹介!
こんにちは!
まちがいなく、土曜日は平日より時間が進むのが早いと確信しています。ばんです。
今日はくだらない話を。
ちょっとこちらの音楽をお聞きください。
たばこ(Zol)を禁止する理由
南アフリカは、18日からロックダウンレベル2になりました。
このレベルが何かというと、5段階のロックダウンとして、レベル5から始まり、段階的に制限を解除するというもの。やっとレベル2まできましたよ!
(でも一度レベル3のあとに、アドバンスドレベル3があるので、5段階というのには疑問が…笑)
実は、レベル3までは、お酒とたばこの販売が禁止されていたんです。
お酒に関しては、一度制限付きで解禁になりましたが、飲酒関連の事故や事件が多発、病院のベッドが埋まってしまったので、再度禁止。たばこにかんしては、3月からずっと禁止されたままでした。
(それでもたばこを吸っている人は絶えずいましたが。密売人がたくさん儲かったとか)
レベル4の会見の時に、大臣がたばこ禁止の理由をこう語っています。
煙草をシェアするとき、ソーシャルディスタンスを保てなくなる。Zol(南アフリカで使われる、大麻を表すスラング)を使うとき、紙につばをつけて、そしてそのZolをシェアする。誰かが感染してたら、その唾をシェアすることになる。
電子タバコも含め、たばこ製品は禁止とする。
あんまり論理的ではないに加え、Zolというスラングを使ったことで話題に。
そして、マックスという男性がこの音楽を作り、南アフリカでバイラルに!
テレビにもでたZolソング
ニュース番組でも取り上げられました。
この大臣も認識してて、大臣とDMでやりとりもしたみたいです笑
南アフリカはスラングやビデオ、音楽、パロディなど、クリエイティビティに溢れている…。
ロックダウンで大変だけど、ユーモアを忘れない南アフリカでした。
【南アフリカ】ヨハネスブルグとケープタウン、どっちが危ないの?
ヨハネスブルグに住んでいます、ばんです。
ここに住みはじめてから、よく言われることがあります。
「ヨハネスブルグって危ないんでしょ?」
「南アフリカは、ケープタウンは行ったことあるけど、ヨハネスブルグは危ないと思っていかなかった」
などなど。
南アフリカは全体的に「危ない」というイメージがあるのですが、特にヨハネスブルグは危険、という印象を持っている人が多いようです。
正直、いろんな人の話を聞いていると、「ヨハネスブルグのほうが危ない」「ケープタウンのほうが差別がひどい」など、いろんな人がいろんなことを言っているので、比較は結構難しいと思っています。
数値だけだと見えないことや、エリアによる格差があるので、主観も入りますが、2都市を比べてみました。
(主観)ヨハネスブルグとケープタウンを比べてみた
一般的に言えば、ケープタウンのほうがイメージがいいですよね。
あと、観光地やネイチャーアクティビティはやっぱりケープタウンのほうが充実しています。
海があるから景色はいいし、ビーチでのんびり、シーフードも楽しめる。
喜望峰、ペンギンコロニー、ワイナリーツアー、テーブルマウンテンなどのアクティビティが盛りだくさんです。
ヨハネスブルグは基本的に、経済都市であり内陸にあるので、そうした観光客向けのアクティビティは少ないです。南アフリカはワインが有名ですが、ヨハネスブルグのあるハウテン州ではワインは取れません。
もともと金脈があったからできた大都市。今も、行政府(首都)であるプレトリアから車で1時間ほどで、経済や行政の中心地。仕事や教育を目的に人が集まってきます。
アパルトヘイトの抵抗の地としても知られているタウンシップ(旧黒人居住地区)SOWETOがあったり、アパルトヘイト博物館、かつての牢獄が博物館としてリニューアルされているコンスティテューション・ヒル、人類最古の化石が発掘された「人類のゆりかご」など、歴史を学ぶにはもってこいの場所です。
(主観)ケープタウン=ヨーロッパ、ヨハネスブルグ=アフリカ
ケープタウンを訪れる観光客のほとんどが口にするのは「ヨーロッパみたい」。
私もそう思います。海沿いの高級住宅街や、ウォーターフロントと呼ばれる中心地の町並みは、アフリカというよりヨーロッパの延長。ワイナリーが多いステレンボシュのあたりも、欧州の片田舎をドライブしている感覚に陥ります。
また、そうした高級ないいエリアには、旧政策下で特権を持っていた、ヨーロッパ系のいわゆる"白人"の南アフリカ人が土地を持っていることが多いので、こうした観光客が多いエリアには、こうした人種の偏りがあるようです。
ヨハネスブルグやケープタウンに住むアフリカ系の南アフリカ人は「ケープタウンのほうが、格差や差別が根強く残っている」と証言する人が多いです。
アフリカ系南アフリカ人のパートナーは、民族で言うと「コサ(Xhosa)」(※本人の言葉を借りると「両親はXhosa」。民族で人を分けるのはナンセンスだと思っているらしい)なのですが、初めて会った時に「どこの民族か?」と聞いてくる人は、99%ケープタウンで働いていたり、育っている人だと言います。
再開発をされているようなエリアやホワイトカラーワーカーに、肌の色が薄い人が多い、というのはヨハネスブルグも同様ですが、中所得以上のアフリカ系南アフリカ人がより多い印象を持っている人も多い様子。
また肌の色に関わらず、ヨハネスブルグのほうが、アフリカの一部というアイデンティティや雰囲気がある、と感じる人も多いようです。パンアフリカニストが多いのかな?
殺人に関するデータを比べてみた
実はあまり知られていないのですが、南アフリカで一番殺人事件の比率が高いのはケープタウンみたいです。
※Wiki上の2019年のデータでは世界8位になっています‥!
上の記事では、ヨハネスブルグの犯罪率は、比較的に低いことになっていますが、パートナーによると、ケープタウンのほうが犯罪のデータが正確な可能性がある、とも言っていました。とはいえ、殺人事件の件数、という観点では、ケープタウンのほうが数は多いようです。
一方、住人への安全に関するアンケート調査は?
こちらはアンケート形式の調査。
ケープタウンに住んでいる人のほうが、安全だと感じている、というデータになっています。
12項目のうち、10つでケープタウンのほうが良い結果に。圧勝ですね。
これは、Crime Indexという調査の結果。
以下の質問の回答結果から、ランキングを出しているみたいです。
- How serious you feel the level of crime is(犯罪レベルはどれくらい深刻だと思うか)
- Change of crime level in the past three year(3年前と比べて犯罪レベルの変化)
- Feeling of safety walking during daylight(日中安心して外を歩けるか)
- Feeling of safety walking during night(夜安心して外を歩けるか)
- How worried are you of being mugged or robbed(強奪などの心配)
- Worries of having a car stolen (or things from the car)(車や車の部品や中のものを盗まれないかの心配)
- Worries of being physically attacked by strangers(知らない人に攻撃される心配)
- Worries of being insulted or pestered by anybody, while in the street or any other public place(公共の場や道でトラブルに会う心配)
- Worries of being subject to a physical attack because of your skin color, ethnic origin, gender or religion(肌の色、民族、宗教、ジェンダーによって攻撃対象になる心配)
- Problem of people using and dealing drugs(ドラッグの心配)
- How much is the problem property crimes?(不動産関連の問題の程度)
- How much is the problem violent crimes?(暴力的な犯罪の程度)
ケープフラットの治安は国内最悪レベル
危険・安全と一言で言っても、なかなか難しいということです。
ただ、上の調査で少し気になるのは、調査に答えている人はどの層の人なのか、ということです。
ケープタウンは、観光客が行くようなきれいなところは、確かにヨーロッパみたいだし、きれいで安全な印象を持つと思います。
しかし、少し郊外に行くと話は違います。
特に「ケープフラット」と呼ばれるエリアは、ギャングの住処。
おそらくこの地域が、上述のケープタウンの殺人率を引き上げる要因になっているのではないでしょうか。
ケープフラットと呼ばれる所以は、海沿い―山(テーブルマウンテンなど)の更に内陸にある、平地に位置しているエリアだから。
かつてのアパルトヘイト時、海辺のエリアに"白人"が住み、その次の位置に"カラード"と呼ばれる"混血"の人たちが住んでいました。そこでは、かつてから麻薬や売春などが行われていて、現在は複数のギャングが毎晩銃撃戦をするような、治安の悪い地域になっています。
このドキュメンタリーは、英語なのですが、ぜひ見てみてほしいもの。
ケープフラットに住む子どもたち、ギャングがにらみを利かせ、戦いあっているエリアの小学校を追ったものです。
父親は元ギャングでヘロイン依存、母親のためにギャングにはなりたくない、と言いながら、毎日ズボンに凶器のはさみを持ちながら学校や遊びに行く子ども。
Crime Indexの調査には、こうしたトップレベルで危険な地域に住んでいる人の声が反映されているのでしょうか…?
「お金があって、ホワイトカラーの仕事ができるのであればケープタウンがいいんじゃない?」
南アフリカに住むと、ほぼ条件反射的に治安について聞かれます。
そうすると、自然な流れで安全について考えることが増えました。
ヨハネスブルグもケープタウンも、正直住むエリアを選べば、どちらも暮らせると思います。
選ぶことができる経済力や学歴、職歴があれば。
「お金があって、ホワイトカラーの仕事ができるのであればケープタウンがいいんじゃない?」
パートナーにそういわれました。
ヨハネスブルグも、いわゆるダウンタウンであるCBD(Central Business District)と呼ばれるエリアは、治安が悪いといわれていて、一部地元のアフリカ系南アフリカ人も近寄らない場所もあります。
CBDだけを比べると、ケープタウンのCBDのほうがずっと狭い(半分以下じゃないかな)し、迷路のようで土地勘なく歩くと危険なアリアに迷い込みかねないヨハネスブルグの方が危険かもしれません。
ケープタウンは、わかりやすい観光地があるので、間違って危ないエリアに行く人は少ないというのもあるかもしれません。ヨハネスブルグは、コンスティテューション・ヒルなどは、そのCBDの中にあるので、うっかり歩いてしまう観光客が「ヨハネスブルグはやばかった!」という印象になるのかも、とも思います。
ただ、パートナー曰く、タウンシップを比べると、けーうタウンの方が犯罪やドラッグが横行している傾向があり、タウンシップなど郊外に住むしか選択肢がない人にとっては、ケープタウンのほうが危険かもしれない、と言っていました。
結局は、あなたが何者か、どのくらい恵まれているか
いろいろと長々書きましたが、安全や治安については、簡単に一言では言えません。
最近BLMの運動も盛んになりましたが、アメリカに住む、ということが安全か否かは、肌の色によって異なるようです。
それはどこに行ってもある程度あると思います。
東アジア的な見た目をして、日本語が話せれば、日本は安全で居心地がいいかもしれませんが、そうでない人にとっては、ひょっとしたらそうでもないかもしれません。
また、一時的に訪れるのと、住むのでは、また違った要素も出てきますよね。
下のブログは、ケープタウン、ヨハネスブルグ、プレトリア、ダーバンのいいところ、悪いところを比べています。
ケープタウンは、冬に雨が降る、水不足が深刻、ハウテン州(ヨハネスブルグやプレトリア)に比べて給与水準が低い、などが書いてあります。
プレトリアは「つまらない」笑
ヨハネスブルグは「危ない」「地形が良くない」←標高が高いし海がないということ?
ダーバンは「雇用機会が少ない」
などなど。
いろいろ複合的にみると、ヨハネスブルグもぜんぜん悪くない、と思って暮らしています。
そんな感じで、今日はこのくらいにしようと思います。
それでは。
【8月9日Women's Day】南アフリカで、人種を超えて女性が団結した日
南アフリカでは、8月は女性月間なんですって!
今年はコロナウイルスの影響もあるし、イベントなどはあまりないだろうけれど、8月9日は女性の日(Women's Day)として知られています。
去年のこの時期も南アフリカにいたので、イベントなどが行われていたのは知っていたのですが、背景をよく理解していなかったので、これを機にちょっと調べてみました。
国内で移動許可証を必須とする「Pass Law」への反対マーチ
この女性の日のきっかけとなったのは、なんと1956年に行われたWomen's March(ウーマンズ・マーチ)だと言います。
Pass Law(パスポート法)と呼ばれる法案に反対して、南アフリカ中の女性が行政府のプレトリアのユニオン・ビルディング(南アフリカのホワイトハウスのような場所です)に向かって行進、2万人以上の女性が参加しました。
人種の壁を越え、4人の反アパルトヘイト活動家が立ち上がる
南アフリカは1994年に初めて民主的な選挙が行われ、ネルソン・マンデラ氏が大統領に就任。それまではアパルトへイトと呼ばれる人種差別政策が行われていたので、1957年というとアパルトヘイト真っ最中。
そんな中ではありますが、4人の反アパルトヘイト活動家の女性がマーチを先導しました。
イギリス系のSophia Williams-De Bruynさん、Helen Josephさん、そしてアフリカ系のLillian NgoyiさんとAlbertina Sisuluさんの4人です。
Pass Lawsってどんな法律?
南アフリカは、アパルトヘイト体制だったころ、人種によってさまざまなものが分け隔てられていました。
選挙権があるのは「白人」のみ。
その他、「インド人(アジア人)」「カラード」「黒人」に分けられており、居住区や職業などが分けられ、異なる人種どおしの婚姻も違法。
(アメリカで人気のコメディアン、トレバー・ノアは南アフリカ生まれ、"白人"と"黒人"の間に生まれました。「Born a Crime(邦題:生まれたことが犯罪!?)」というエッセイは、日本語にもなっていて、世界的にヒット!気になる方はぜひ読んでみてください。
教育も人種によって異なりました。(黒人に対しては、高度な教育は必要ないということで、労働力として機能する基本的な教育のみ行われました)
人種や民族名が書かれたIDを携帯することは、既に義務化されていました。"黒人"がIDを携帯していなければ犯罪となります。
このPass Lawsは、IDの携帯に加えて、黒人居住区から白人の居住区に移動するものは、事前にVisaのような許可証を入手しなければいけない、というものでした。
黒人居住地から白人居住地を移動するのは、主に黒人女性です。清掃員やハウスキーパーとして雇われている人が多いからです。
一方男性は鉱山などで労働力となることが多かったといいます。
以前から、IDを検査するという名目で、黒人女性がハラスメントに会ったり、性暴力の被害にあうことがありました。
このPass Lawsは、警官に対して女性を尋問する理由を与えてしまいます。
法案に反対する署名運動が行われ、さらには大規模な行進に至ったのです。
女性にとっても生きづらかったアパルトヘイト時代
8月9日の更新は、Pass Lawsへの反対という名目で行われましたが、背景にある組織は、長年女性の権利向上(同一賃金など)のために活動してきていました。
今でこそ、女性の権利や社会進出に熱心、且つ同性婚の合法化など様々なセクシャリティの人に対して権利を認めている南アフリカ(とはいえまだまだ課題は多いですが)。
こうした歴史があって、今の姿があるのですね、、。
参考
【コロナウイルスと南アフリカ】汚職と経済崩壊との闘い
日本は4連休だと聞きました。
第二波か!というくらい、感染者数が増えているようですが、南アフリカもなかなか感染者数が減りません。
ついにコロナ感染者数が世界5位となってしまいましたが、ピークは8月だということで、まだまだ辛抱する必要がありそう。
超格差社会のロックダウン
南アフリカも、ロックダウンからもう4か月くらい経ちます。
タクシーの運転手やレストランなど、ストライキをする業界も出てきているし、食料が尽きる人、失業率の上昇など、経済の悪化が無視できないくらいになっています。
南アフリカは、給与をもらえるような、いわゆるサラリーマンになれば、大企業の中間管理職で年収1000万以上(日本円で)もらえることもあるような国。
一方で貧困ライン(月922ランド=約6300円)以下で生活している人が約半数。
Poverty on the rise in South Africa | Statistics South Africa
超格差社会です。
かといってむやみに規制を解除しても、収拾がつかなくなり、医療崩壊にもつながるので、政治的にもかじ取りは難しそう。
今週の大統領会見
そんな南アフリカを率いるラマポーザ大統領は、先週も会見を開きました。
学校が再び休校になったり、ポイントはいくつかあったのですが、汚職との闘いについてで興味深かったので書いておこうと思います。
他国と比較してもわりと厳しいほうに入るこのロックダウンにあたって、失業者などに向けたサービスや、保証する予算もあるのですが、どうやらうまく分配されてない様子。
この前もニュースで、既に死亡しているはずの人のIDで補助金の申請があったりするそう。
あと大きな問題が、政府職員による予算のねこばば。
We are taking measures to ensure that those who misuse vital funds or exploit this disaster for personal gain face swift and harsh consequences. pic.twitter.com/3m8xlkCSdl
— Presidency | South Africa 🇿🇦 (@PresidencyZA) July 23, 2020
市民に届くはずのお金が、どういうわけか職員の懐に。
そうした汚職に対して、徹底的に調査する意向が示されました。
政府職員も市民も、ある程度厳しいルールがないと、なかなか統制をとるのが難しいのかもしれないですね。
今年の一時帰国も、残念だけど見送りだろうな~と思っています…。
今国内旅行もできない状態ですが、ピークを越えれば10月には旅行できるかも?
国内の観光業も応援したいし、気を付けながらどこかでノマドするのもありかも。
国外は来年かな。
とはいえ油断は禁物。
みなさんもお気をつけて!
【南アフリカ】【タウンシップ英語】TigerやStop Nonsenseの意味わかる?
そして今日はネルソン・マンデラDAYです!
ネルソン・マンデラ氏の誕生日。
世界をより良くするために、アクションしよう!という日です。
とはいえ南アフリカのコロナウイルス感染者数が、世界第6位になったよう。3月末からまだロックダウンは続いているので、外に出て社会奉仕活動をするのは難しいのですが‥。
物乞いの人は、ロックダウンなど関係なくいるのですが、紙コップに長い枝を指して、ソーシャルディスタンスを保った物乞いスタイルをよく見るようになりました。
南アフリカは冬なので、古くなった衣類や食べきれなかった食事(まず食べきれる分だけ買いなさい、ということもありますが)を手渡しすることは、たまにしています。
何をしたらいいか、というアイデアがここに少し載っています。
関心がある方はぜひ!
タウンシップ独特の表現
マンデラDayの話は、ここまでにして、タウンシップと呼ばれるアパルトヘイト時代の非白人専用居住区で使われる英語表現について書こうと思います。
▼タウンシップについてはこちら
南アフリカは、公用語が11語、人種・民族・宗教も様々で、かなり多様な人が暮らしています。
半世紀近く、人種隔離政策といわれるアパルトヘイトが行われていたこともあり、コミュニティごとに文化や流行り、慣習が違うこともしばしばあります。
私は結婚をして南アフリカに住んでいますが、パートナーはいわゆる「黒人」で、南アのブラックカルチャーにも通じています。
今回は、いろんな話を聞いた中で、おもしろいなと思った表現を紹介します。
▼南アフリカ英語自体もかなり独特で面白いです笑
ストップナンセンス
ある日パートナーが、この動画を見て大爆笑。
見せてもらったけれど、全然意味が分からず。
聞いてみると、タウンシップでは、このブロック塀のことを「ストップナンセンス(Stop Nonsense)」というそうです。
(なんでそうなった!?)
これは壁じゃない。ストップナンセンスだ。
南アフリカのエンジニアリングで、この構造を反対側にみられるのは…ナンセンスです(笑)ナンセンスで作られていて、アフリカ南部でのみ見られます…
この動画、WhatsAppで回ってきました。
ちなみにこの動画で一躍有名になった彼は、今ではCMなどに出ています!
タイガー半分、タイガー3つ
南アフリカの貨幣を見たことがありますか?
ビッグ5と呼ばれる大型哺乳類(ライオン、ヒョウ、象、サイ、バッファロー)が書かれています。(ちなみにそのビッグ5全て南アで見られます)
そして、タウンシップなどでガソリンを入れたりすると、「Half Tiger」や「3 Tiger」という言葉を聞くことがあります。
これも由来不明ですがTiger(タイガー)は10ランドの意味だそうです。
なので、ハーフタイガーは5ランド、3タイガーが30ランド、とのこと。
他にもお金に関してはchok(チョコ)が20ランド、Clipa(クリッパ)が100ランドを表すそうです。
いや、全然わかんないですよね笑
7カラーズ
7 coloursは休日のランチのこと。
一つのプレートに、様々な色の料理がのっているから「7カラーズ(7 colours)」と呼ばれているそう。
タウンシップの呼び方
ちなみに、このタウンシップという言葉自体も、さまざまな呼び方があります。
また人によっては「タウンシップ」という言葉は、旧体制(アパルトヘイト)の構造を思い出されるので、住んでいる人はこの言葉を使わないことが多いそう。
・コミュニティ
・ローカル
・カーシ(Khashi)
・フッド(Hood ※Neighborhoodから)
などと呼ばれるようです。
うっかりタウンシップ在住の人に対して、何度もタウンシップという言葉を使ってしまって会話してしまったことがあります。確かに思い返してみると、彼女たちは「コミュニティ」という言葉を使っていたなあ、と思い少し反省しました。
私もかれこれ2年近くこちらにいますが、ふとしたタイミングで新しい言葉に出会うことがあります。
タウンシップで使われるようなストリートランゲージは、必ずしも話せなくてもいいけれど、話せればローカルとの距離がぐっと縮まります!笑
【南アフリカ・ヨハネスブルグ】またお酒が買えなくなり、水が出なくなった日
こんにちは。
昨日の夜に、演説があり、南アフリカはロックダウンが再び厳しくなりました…。
大きな変化は
・(再び)お酒の販売禁止
・(再び)夜間外出禁止
他にもマイナーな変更はありましたが、個人的に大きいのはこちらの2つ。
この前ビールとワインを買ったからしばらくは大丈夫だと思うけど、またお酒が買えない日々が始まります…。
ロックダウンと嗜好品(お酒とたばこ)
南アフリカのロックダウンのユニークな点かもしれない(他の国の制限を調べたわけではないのでわかりませんが)のが、お酒とたばこの販売制限です。
3月末にロックダウンが始まってから、約2か月ほどお酒の販売禁止!!
そしてたばこ(電子タバコも含む)に至っては、3月末から今までずっと販売禁止です。
とはいえ、たばこが禁止されているのにも関わらず、未だにたばこを吸っている人がいたり、明らかにハッパを路上で売っているような人も見たので、まあ、何とかして売ろうとする人と、何とかして買おうとする人はいるみたいです。
アルコールにおいては、6月に販売が再開(時間と曜日に制限アリ)されたのですが、その少し前、何かの会見で、とある政治家が
> 南アフリカはアルコール依存者の国だ!
といっているのを偶然見たとき「そこまで言うかな…」と思ったのですが、再開当日がこれ。👇
早朝から人がめっちゃ並んだらしい。
そして再開してはじめでの週だけで5000人がアルコール関連で病院に…
6月全体では、34,000の病床がアルコール関連のケースで使われているそう!
南アフリカ、おそるべし…
はじめは、アルコールを禁止して効果があるの?と思ってしまったけど、この結果を見ると、禁止したほうが安全かもしれない、と思ってしまいます。
8月がピークだといわれている、南アフリカのコロナ状況。
もう少し踏ん張りましょ。
そして、工事の影響で水が出なくなる…
アルコールと外出禁止でちょっとシュンとなっているところで、住んでいるアパートで断水となりました…!
南ア人のパートナーもこんなに長く水が出ないのは初めてだといっていましたが、どうやら家の前で道路工事をしていて、誤ってパイプを割ってしまったよう。(パイプを割ることは、そんなに珍しくないらしい。やめて…)
なので、この一角だけですが、断水に。
すぐメンテナンスに来る、と連絡があったものの、ほんとかなーと思っていたら、案の定来ません。
24時間くらい水は出ず、代わりにヨハネスブルグ市から水タンクが支給されました。
ひとまずシャワーは浴びれました!
水は大事だ―。
と、今週もまだまだいろんなことがありそうです。
それでは!
【タウンシップが舞台!】南アフリカの性教育テレビドラマ「SHUGA: Down South」を解説
南アフリカのタウンシップ(アパルトヘイト時代の旧黒人居住地区)について、学生といろいろ話している際に知って、軽く衝撃を受けたTVシリーズを紹介しようと思います。
その名も「SHUGA(シュガー)」
Netflixで「セックス・エデュケーション」というドラマがちょっと前に話題になっていたと思いますが、南アフリカ版セックス・エデュケーションとでもいえるようなシリーズ。
タウンシップの若者の生活がリアルに描かれ(南アフリカ人のパートナー曰く、ストーリーに出てくるトラブルなどの多くは、現実の世界でも珍しくないものだそう)、一方で性教育の観点で多くの示唆があふれています。
▼ちなみに、セックス・エデュケーションを知らない人に
南アフリカ版セックス・エデュケーション?「SHUGA」って?
SHUGA(シュガー)を配信しているのは、MTVというアメリカのテレビ会社なのですが、南アフリカやナイジェリアでも人気を誇っています。
そのMTVが南アフリカの若者向けに、タウンシップを舞台に、タウンシップ文化や若者の姿をとらえたシリーズが「Shuga: Down South」です。
Season1の舞台は高校。そして、彼らが高校を卒業した後の生活を追ったSeason2があります。
同様のシリーズで、ナイジェリアを舞台にした「Shuga Naije」もあり、ともにYoutubeで全編見ることができまるようです。
こちらのシリーズは、MTV Staying Alive Fundationという、エイズ予防の活動をしている財団のスポンサーで制作されています。
そのため、物語にはエイズ関連の知識を中心に、避妊や性的合意など、健康と安全のための知識を得る機会が盛り込まれています。
タウンシップの若者がリアルに抱える問題
もちろんフィクションなので、ドラマチックに仕立ててありますが、ストーリーに出てくる若者が抱える問題は、実際に起こっていることを再現しているようです。
似たような立場の若者が見たら、共感したり、自分を重ねてみることができるといいます。
なんとなく、聞いたことがある話が、このドラマを見てビジュアル化された感じが合って、個人的にすごくおもしろかったです。
(Season2では、タウンシップを出て都市に出る人もいるので、見たことがあるエリアも多かったのもあります)
ただ、ある程度タウンシップ文化や人々が抱える問題に対して前提知識がないと楽しめないかなあと思ったので、備忘録も兼ねて"解説"ということで記事にしようと思います。
▼Season1の第1話はコチラ▼
高いHIVの感染率
南アフリカのHIV感染者数は、人口比で世界で一番多いのです。
2018年には、15歳から49歳の南アフリカ人の2割がHIVに感染しているというデータもあります。
衝撃的な数字ですが、2003-5年くらいに感染者数のピークを迎えていたので、そのころよりは改善していると思うと、かなり重大な問題だったことがわかります。
この世界銀行の平均寿命のグラフを見てもらうと、南アフリカ人の平均寿命が1990年ごろから2005年にかけて、大幅に短くなっているのがわかります。
平均寿命が10歳ほど短くなっています。
https://data.worldbank.org/indicator/SP.DYN.LE00.IN?locations=ZA
このシリーズの中でも、性暴力によって感染した人や、生まれつきHIVを持っている人などが出てきますが、それだけ身近なことでもあります。
感染拡大を食い止めるために、タウンシップなどに対しても、性教育などを積極的に行ってきた結果、現在はだいぶ改善されたようですが、それでも多くの人が感染しています。
10代の学生と教師や運転手の関係
このシリーズでも、女子高生が学校の先生やタクシーの運転手と関係をもつシーンが出てきます。
このタクシーについては、あまり日本人にはなじみがないのですが、南アフリカでいるタクシーがさすのは、ミニバスの乗り合いタクシーのことです。
このタクシーがなかなか興味深く、南アフリカ人の大切な交通手段の一つなのですが、政府や地方行政によってしっかりと規制があるものではなく、南アフリカ人曰く「ギャング」のような組織体制をしています。
実際に、派閥によって争いが合ったり(違う組織のテリトリーに侵入したら、銃殺される、など)、現金主義で脱税をしていたり、タクシーのテリトリーに公共交通機関を作ろうとしたら車両を破壊される、ミニバスのメンテナンスがしっかりされておらず、交通ルールも守らないので事故が多い…などなど。
実際に南アフリカの道路を運転すると、信じられないほど荒い運転をするタクシーが多いです。
このシリーズの中にも、タクシー運転手の若者が出てきますが、彼の父親はタクシー組織のボス。現金を数えていたり、豪華な家に住んでいたりすることから、南アフリカ人が見れば、明らかに「タクシーのボス」とわかるそうです笑
このように書くと、タクシーは恐ろしいもののように思われてしまうかもしれませんが、高校生や大学生、スーパーの店員や清掃員など、みんなが使う大事な交通手段。
高校生の女の子が、ちょっとかっこいいタクシー運転手の隣に座ることも結構あるようで、お金がない時は運転手とちょっと関係も持ってしまう、なんてことも。
10代の妊娠・出産
こうした環境で、10代にうちに妊娠してしまう人もいます。
お腹の大きな女子高生の絵もありますが、実際に起こりうることです。
タウンシップに住む20代前半で2人子どものお母さん、なんてことは珍しくも何ともありません。
日本人の大学生と話していましたが、20代の同年代、と言った時に、子どもを持っている人もいるもです。
ちなみに南アフリカでは中絶はできます。日本では手術でしか中絶できませんが、南アフリカでは、妊娠初期であれば錠剤での中絶も可能です。
ナイフで刺される事件
夜中歩いていて、もめごとが起こりお腹を指される、といったシーンや、酒屋でもめ事があってナイフが出てくる、なんてシーン。
これも現実を描写しています。
私のパートナー(南アフリカ人)も、親せきや友人で刺されたことがある人は何人かいるようです。
治安の悪い南アフリカのイメージを誇張してしまうかもしれませんが、場所によってはそうしたリスクがものすごく高いところと、そうでもないところがあるのも事実。
リスクが高いところに行かない、特にリスクが高い時間帯は近づかない。そうした場面に出くわしたら、決して抵抗しないことが重要です。
タウンシップ内の格差
タウンシップ、と一言で言っても、さまざまなソーシャルクラスがあることも、このドラマに描かれています。
タクシー組織のボスの家庭は大きな豪邸のようですし、一般的な一軒家もあります。一方トタン屋根でてきたシャークと呼ばれる貧困地域まで。
そうしたさまざまな経済レベルの家の子どもたちが、同じエリアの学校に通っている様子も、一言で語ることができないタウンシップの現実を表しています。
LGBTQ+のひとたち
ドラマの中には、ゲイの男の子が出てきます。
南アフリカは同性婚が合法で、LGBTQ+の人も法律上は権利が認められ、都心に行けば同性カップルを見かけることも珍しくありません。
ヨハネスブルグの都心にいる限り、日本よりも、オープンにそうした話ができる空気を感じます。
しかし、タウンシップコミュニティや田舎など、まだまだセクシャルマイノリティが受け入れられきっていないところもあります。
ドラマでも、ゲイであることから父親に家から出るように言われ、高校卒業後ヨハネスブルグに出て行ったキャラクターが描かれています。
卒業後の進路
シーズン2の話になりますが、同じ高校に行った人でも、家庭環境や学力によって、全く違う生活を送っていく人達。
奨学金で進学する人、就職する人、子どもを持ちながら起業するひと、歌手を目指す人、都会のゲイコミュニティで生きる人…
ギャングに近いところで生きている人は、ちょっとしたきっかけで黒い世界に行ってしまったり、いろいろ考えさせられます。
ところどころに教育的な要素が
HIVテストはどうするの?
HIV陽性だと恋愛できないの?
避妊はどれで十分?
どうやって避妊具にアクセスする?
性的同意はどうすればいいの?
LBGTは病気なの?
夫が妻に暴力をふるうことは問題なの?
HIV陽性かどうか知る権利はあるの?
などなど。ストーリーを通して学ぶこともありますが、物語の途中に出てくる質問を通して、性教育やサーベイが行われています。
気になる方は、ぜひYoutubeで視聴してみてください!
所得格差を表すジニ係数が世界最悪
HIVの感染爆発
などなど大きな問題を抱える南アフリカ。
また、アパルトヘイト時代の遺産ともいえるタウンシップの生活、文化。
こうしたことに関心がある人にはぜひおすすめのシリーズです。
性教育に関しては、日本も決して進んでいるとはいえず、日本人の私たちも学ぶことがあると思います。
全編英語(一部他の言語も出てきますが、英語字幕あり)なので、英語がわかる方はぜひ、Youtube をチェックしてみてください!