動機はいつだって不純

南アフリカ・ヨハネスブルグで暮らすノマドワーカーのつぶやき

南アフリカ・ヨハネスブルグは"世界一危ない都市"なのか?

ヨハネスブルグは寒いです。そろそろ春~夏の時期ですが、今年はいつもより温かくなるのが遅れているようです。

 

 

さて、アフリカに行く、南アフリカに行く、と周囲に言うと、必ずと言っていいほど言われるのが、

『危なくないの?』

イスラエルパレスチナやインドに一人旅をしたときも言われましたが・・・)

 

ただ、イスラエルやインドと比較しても、ヨハネスブルグの場合は特に"危ない"イメージが強い。

Googleで「南アフリカ」「ヨハネスブルグ」「治安」と日本語で調べると、こんな記事が上位に出てくるんです。

 

matome.naver.jp

 

読んでみればわかりますが、かなりひどい書かれ方をしていますwww

 

ただ、英語で検索してみると、そんなにすごく"危険"!を強調した記事は出てこないんですよね。

 

日本語では、Neverまとめや個人ブログからの情報が多い、且つ2000年くらいの(今から18年も前です)記事から今年のものまで混ざっている一方、英語ではニュースサイトやトラベルサイトなど、団体やメディアからの発信がメインで、情報も2015年以降に発信された比較的新しいものが多いです。

 

2010年に南アフリカでワールドカップがあってから、都心の治安は大幅に改善されました。政府が政策として、治安対策に力を入れたためです。

ヨハネスブルグ在住の人も、近年になって警察がかなり精力的に働いているところが見られるようになったそう。

エコノミストが発表している、世界の危険都市の治安ランキング(これNECがスポンサーなんですね)でも、かつてはランク上位に来ていたヨハネスブルグも、ランクを大きく下げ、今ではランク圏外です。

safecities.economist.com

 

ヨハネスブルグ在住の南アフリカ人(コサ人)の話を聞いたところによると、南アフリカには2つの経済が存在しているそうです。

欧米社会と変わらない社会(1st Economy)貧困社会(2nd Economy)です。

 

 

1st Economyは、日本人のような先進国から来た人が過ごすことになるであろう、小綺麗で、欧米と変わらない社会です。私はまだ1st Economyに分類される場所しか来たことがありません。デパートがあって、H&Mやスタバなど欧米のブランドがあって、一見

ここはアフリカ?と目を疑ってしまいます。

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きれいな公園。親子連れも遊んでいます

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ローカルバンクが運営するワーキングスペース。Wifiと飲み物飲み放題で無料!

しかも、ヨハネスブルグの中心地にいるひとは非常に多様なので、アフリカ系、欧米系、インド系、アラブ系、ユダヤ系、アジア系・・・いろんな人がいるので、学生時代短期留学に行ったバンクーバーを思い出しました。(もちろん、アフリカ系のひとの比率が一番多いですが。)

どこのカフェに行ってもWifiと電源が完備され、ノマド生活をしている私にはとても快適。4-5時間カフェラテ一つで居座っています。

一人で移動しなければいけないときは、Uberを使っています。運転手は評価を上げることに必死で(笑)、冷房に気を遣い、世間話をしてくれます。

1st Economyに行くと、南アフリカヨハネスブルグのイメージが一気に変わると思います。

 

 

ただ、2nd Economyを忘れてはいけません。経済的に恵まれない貧困層の人が住む地域もあります。Townshipと呼ばれる、主にアフリカ系の人(周辺のアフリカ諸国から出稼ぎにきた人も含む)が住む地域です。"治安が悪い"といわれる地域はおそらくこのあたりでしょう。

その中でも特に悪名が高いのが、ヒルブロウと言われる地域。街の中心地に位置しているのですが、1st Economyにいる限りヒルブロウに行く事はまずないでしょう。ヒルブロウ駅周辺には、南アフリカ周辺のアフリカ諸国からの移民が集まっているそうです。よりよい暮らしを求めて、経済的に発展している南アフリカに来たものの、職がない人が多くいるのです。ヒルブロウの駅は、陸路で国境を越えて南アフリカに来る人が通過する地点。飛行機を使って、街ではUberを使う事ができる人はまず使う事はないでしょう。

ヒルブロウで小綺麗な格好をしていたり、パソコンを持ち歩くことは本当におすすめできないそうです。

(ちなみにヨハネスブルグの治安悪い伝説の中には、タクシーにまつわるものが多くありますが、タクシーに乗るのはおすすめできません。Taxi Associationなるものがあるらしいですが、合法なのか非合法なのか、国の管轄外なので交通ルールを守らなかったり、危険だそう。そもそも車社会の南アフリカでタクシーを利用するのは、車を所有できない層の人たちなので、学生や2nd Economyの人が多いそう)

 

 

 

ヨハネスブルグが危険と言われる理由の一つが、この極度の経済格差があります。

そう。キーワードは"経済格差"であって、肌の色の違いではありません。

アフリカ系の人でも、1st Economyで生まれ育ち、欧米的な考えをもっている人がいますし、欧米系の人でも物乞いをしている人を見たことがあります。外国人でも、貧困国から出稼ぎで来た人と、日本人のように、ビジネスや観光で来る人では、置かれる状況は大きく違います。

 

1st Economyで生活していても、車道の真ん中で物乞いをするひとや、路上で生活をしている人をみることがあります。

格差や貧困があるところに、危険があるのです。

これはアメリカでも同様のことが言えると思います。ニューヨークの中でも、一つ隣の地区に行くと、マリファナのにおいがしたり、急に治安の悪いエリアに出ることがあります。

ここヨハネスブルグも同様で、安全に過ごすためには、"危険な地区"を知ることです。

南アフリカに限らず、移民が多いところであれば、欧米諸国でも街の中に危険なスポットがあるはずです。

ただいたずらに"危ない"!と言うのではなく、どこ地域が、どうして危ないのか、理解する努力をすることが大切ですね。

 

ここまで書いて思ったことは、日本と南アフリカは、物理的にも精神的にも距離があるので、最新の治安情報等は理解されていない(し、関心もあまりない)のだろうな。と。

 

ただ、周囲の人に対して、ばんはそれなりに元気にここで暮らしているよ。というメッセージを込めて、この記事を書きました。