動機はいつだって不純

南アフリカ・ヨハネスブルグで暮らすノマドワーカーのつぶやき

【8月9日Women's Day】南アフリカで、人種を超えて女性が団結した日

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南アフリカでは、8月は女性月間なんですって!

 

今年はコロナウイルスの影響もあるし、イベントなどはあまりないだろうけれど、8月9日は女性の日(Women's Day)として知られています。

 

去年のこの時期も南アフリカにいたので、イベントなどが行われていたのは知っていたのですが、背景をよく理解していなかったので、これを機にちょっと調べてみました。 

 

国内で移動許可証を必須とする「Pass Law」への反対マーチ

この女性の日のきっかけとなったのは、なんと1956年に行われたWomen's March(ウーマンズ・マーチ)だと言います。

Pass Law(パスポート法)と呼ばれる法案に反対して、南アフリカ中の女性が行政府のプレトリアのユニオン・ビルディング(南アフリカホワイトハウスのような場所です)に向かって行進、2万人以上の女性が参加しました。

 

人種の壁を越え、4人の反アパルトヘイト活動家が立ち上がる

南アフリカは1994年に初めて民主的な選挙が行われ、ネルソン・マンデラ氏が大統領に就任。それまではアパルトへイトと呼ばれる人種差別政策が行われていたので、1957年というとアパルトヘイト真っ最中。

そんな中ではありますが、4人の反アパルトヘイト活動家の女性がマーチを先導しました。

イギリス系のSophia Williams-De Bruynさん、Helen Josephさん、そしてアフリカ系のLillian NgoyiさんとAlbertina Sisuluさんの4人です。

 

Pass Lawsってどんな法律?

南アフリカは、アパルトヘイト体制だったころ、人種によってさまざまなものが分け隔てられていました。

選挙権があるのは「白人」のみ。

その他、「インド人(アジア人)」「カラード」「黒人」に分けられており、居住区や職業などが分けられ、異なる人種どおしの婚姻も違法。

アメリカで人気のコメディアン、トレバー・ノアは南アフリカ生まれ、"白人"と"黒人"の間に生まれました。「Born a Crime(邦題:生まれたことが犯罪!?)」というエッセイは、日本語にもなっていて、世界的にヒット!気になる方はぜひ読んでみてください。

greenz.jp

 

教育も人種によって異なりました。(黒人に対しては、高度な教育は必要ないということで、労働力として機能する基本的な教育のみ行われました)

 

人種や民族名が書かれたIDを携帯することは、既に義務化されていました。"黒人"がIDを携帯していなければ犯罪となります。

このPass Lawsは、IDの携帯に加えて、黒人居住区から白人の居住区に移動するものは、事前にVisaのような許可証を入手しなければいけない、というものでした。

黒人居住地から白人居住地を移動するのは、主に黒人女性です。清掃員やハウスキーパーとして雇われている人が多いからです。
一方男性は鉱山などで労働力となることが多かったといいます。

以前から、IDを検査するという名目で、黒人女性がハラスメントに会ったり、性暴力の被害にあうことがありました。

このPass Lawsは、警官に対して女性を尋問する理由を与えてしまいます。
法案に反対する署名運動が行われ、さらには大規模な行進に至ったのです。

 

女性にとっても生きづらかったアパルトヘイト時代

8月9日の更新は、Pass Lawsへの反対という名目で行われましたが、背景にある組織は、長年女性の権利向上(同一賃金など)のために活動してきていました。

 

今でこそ、女性の権利や社会進出に熱心、且つ同性婚の合法化など様々なセクシャリティの人に対して権利を認めている南アフリカ(とはいえまだまだ課題は多いですが)。

こうした歴史があって、今の姿があるのですね、、。

 

 

参考

en.wikipedia.org

www.sahistory.org.za

www.sahistory.org.za