【南アフリカ】ヨハネスブルグとケープタウン、どっちが危ないの?
ヨハネスブルグに住んでいます、ばんです。
ここに住みはじめてから、よく言われることがあります。
「ヨハネスブルグって危ないんでしょ?」
「南アフリカは、ケープタウンは行ったことあるけど、ヨハネスブルグは危ないと思っていかなかった」
などなど。
南アフリカは全体的に「危ない」というイメージがあるのですが、特にヨハネスブルグは危険、という印象を持っている人が多いようです。
正直、いろんな人の話を聞いていると、「ヨハネスブルグのほうが危ない」「ケープタウンのほうが差別がひどい」など、いろんな人がいろんなことを言っているので、比較は結構難しいと思っています。
数値だけだと見えないことや、エリアによる格差があるので、主観も入りますが、2都市を比べてみました。
(主観)ヨハネスブルグとケープタウンを比べてみた
一般的に言えば、ケープタウンのほうがイメージがいいですよね。
あと、観光地やネイチャーアクティビティはやっぱりケープタウンのほうが充実しています。
海があるから景色はいいし、ビーチでのんびり、シーフードも楽しめる。
喜望峰、ペンギンコロニー、ワイナリーツアー、テーブルマウンテンなどのアクティビティが盛りだくさんです。
ヨハネスブルグは基本的に、経済都市であり内陸にあるので、そうした観光客向けのアクティビティは少ないです。南アフリカはワインが有名ですが、ヨハネスブルグのあるハウテン州ではワインは取れません。
もともと金脈があったからできた大都市。今も、行政府(首都)であるプレトリアから車で1時間ほどで、経済や行政の中心地。仕事や教育を目的に人が集まってきます。
アパルトヘイトの抵抗の地としても知られているタウンシップ(旧黒人居住地区)SOWETOがあったり、アパルトヘイト博物館、かつての牢獄が博物館としてリニューアルされているコンスティテューション・ヒル、人類最古の化石が発掘された「人類のゆりかご」など、歴史を学ぶにはもってこいの場所です。
(主観)ケープタウン=ヨーロッパ、ヨハネスブルグ=アフリカ
ケープタウンを訪れる観光客のほとんどが口にするのは「ヨーロッパみたい」。
私もそう思います。海沿いの高級住宅街や、ウォーターフロントと呼ばれる中心地の町並みは、アフリカというよりヨーロッパの延長。ワイナリーが多いステレンボシュのあたりも、欧州の片田舎をドライブしている感覚に陥ります。
また、そうした高級ないいエリアには、旧政策下で特権を持っていた、ヨーロッパ系のいわゆる"白人"の南アフリカ人が土地を持っていることが多いので、こうした観光客が多いエリアには、こうした人種の偏りがあるようです。
ヨハネスブルグやケープタウンに住むアフリカ系の南アフリカ人は「ケープタウンのほうが、格差や差別が根強く残っている」と証言する人が多いです。
アフリカ系南アフリカ人のパートナーは、民族で言うと「コサ(Xhosa)」(※本人の言葉を借りると「両親はXhosa」。民族で人を分けるのはナンセンスだと思っているらしい)なのですが、初めて会った時に「どこの民族か?」と聞いてくる人は、99%ケープタウンで働いていたり、育っている人だと言います。
再開発をされているようなエリアやホワイトカラーワーカーに、肌の色が薄い人が多い、というのはヨハネスブルグも同様ですが、中所得以上のアフリカ系南アフリカ人がより多い印象を持っている人も多い様子。
また肌の色に関わらず、ヨハネスブルグのほうが、アフリカの一部というアイデンティティや雰囲気がある、と感じる人も多いようです。パンアフリカニストが多いのかな?
殺人に関するデータを比べてみた
実はあまり知られていないのですが、南アフリカで一番殺人事件の比率が高いのはケープタウンみたいです。
※Wiki上の2019年のデータでは世界8位になっています‥!
上の記事では、ヨハネスブルグの犯罪率は、比較的に低いことになっていますが、パートナーによると、ケープタウンのほうが犯罪のデータが正確な可能性がある、とも言っていました。とはいえ、殺人事件の件数、という観点では、ケープタウンのほうが数は多いようです。
一方、住人への安全に関するアンケート調査は?
こちらはアンケート形式の調査。
ケープタウンに住んでいる人のほうが、安全だと感じている、というデータになっています。
12項目のうち、10つでケープタウンのほうが良い結果に。圧勝ですね。
これは、Crime Indexという調査の結果。
以下の質問の回答結果から、ランキングを出しているみたいです。
- How serious you feel the level of crime is(犯罪レベルはどれくらい深刻だと思うか)
- Change of crime level in the past three year(3年前と比べて犯罪レベルの変化)
- Feeling of safety walking during daylight(日中安心して外を歩けるか)
- Feeling of safety walking during night(夜安心して外を歩けるか)
- How worried are you of being mugged or robbed(強奪などの心配)
- Worries of having a car stolen (or things from the car)(車や車の部品や中のものを盗まれないかの心配)
- Worries of being physically attacked by strangers(知らない人に攻撃される心配)
- Worries of being insulted or pestered by anybody, while in the street or any other public place(公共の場や道でトラブルに会う心配)
- Worries of being subject to a physical attack because of your skin color, ethnic origin, gender or religion(肌の色、民族、宗教、ジェンダーによって攻撃対象になる心配)
- Problem of people using and dealing drugs(ドラッグの心配)
- How much is the problem property crimes?(不動産関連の問題の程度)
- How much is the problem violent crimes?(暴力的な犯罪の程度)
ケープフラットの治安は国内最悪レベル
危険・安全と一言で言っても、なかなか難しいということです。
ただ、上の調査で少し気になるのは、調査に答えている人はどの層の人なのか、ということです。
ケープタウンは、観光客が行くようなきれいなところは、確かにヨーロッパみたいだし、きれいで安全な印象を持つと思います。
しかし、少し郊外に行くと話は違います。
特に「ケープフラット」と呼ばれるエリアは、ギャングの住処。
おそらくこの地域が、上述のケープタウンの殺人率を引き上げる要因になっているのではないでしょうか。
ケープフラットと呼ばれる所以は、海沿い―山(テーブルマウンテンなど)の更に内陸にある、平地に位置しているエリアだから。
かつてのアパルトヘイト時、海辺のエリアに"白人"が住み、その次の位置に"カラード"と呼ばれる"混血"の人たちが住んでいました。そこでは、かつてから麻薬や売春などが行われていて、現在は複数のギャングが毎晩銃撃戦をするような、治安の悪い地域になっています。
このドキュメンタリーは、英語なのですが、ぜひ見てみてほしいもの。
ケープフラットに住む子どもたち、ギャングがにらみを利かせ、戦いあっているエリアの小学校を追ったものです。
父親は元ギャングでヘロイン依存、母親のためにギャングにはなりたくない、と言いながら、毎日ズボンに凶器のはさみを持ちながら学校や遊びに行く子ども。
Crime Indexの調査には、こうしたトップレベルで危険な地域に住んでいる人の声が反映されているのでしょうか…?
「お金があって、ホワイトカラーの仕事ができるのであればケープタウンがいいんじゃない?」
南アフリカに住むと、ほぼ条件反射的に治安について聞かれます。
そうすると、自然な流れで安全について考えることが増えました。
ヨハネスブルグもケープタウンも、正直住むエリアを選べば、どちらも暮らせると思います。
選ぶことができる経済力や学歴、職歴があれば。
「お金があって、ホワイトカラーの仕事ができるのであればケープタウンがいいんじゃない?」
パートナーにそういわれました。
ヨハネスブルグも、いわゆるダウンタウンであるCBD(Central Business District)と呼ばれるエリアは、治安が悪いといわれていて、一部地元のアフリカ系南アフリカ人も近寄らない場所もあります。
CBDだけを比べると、ケープタウンのCBDのほうがずっと狭い(半分以下じゃないかな)し、迷路のようで土地勘なく歩くと危険なアリアに迷い込みかねないヨハネスブルグの方が危険かもしれません。
ケープタウンは、わかりやすい観光地があるので、間違って危ないエリアに行く人は少ないというのもあるかもしれません。ヨハネスブルグは、コンスティテューション・ヒルなどは、そのCBDの中にあるので、うっかり歩いてしまう観光客が「ヨハネスブルグはやばかった!」という印象になるのかも、とも思います。
ただ、パートナー曰く、タウンシップを比べると、けーうタウンの方が犯罪やドラッグが横行している傾向があり、タウンシップなど郊外に住むしか選択肢がない人にとっては、ケープタウンのほうが危険かもしれない、と言っていました。
結局は、あなたが何者か、どのくらい恵まれているか
いろいろと長々書きましたが、安全や治安については、簡単に一言では言えません。
最近BLMの運動も盛んになりましたが、アメリカに住む、ということが安全か否かは、肌の色によって異なるようです。
それはどこに行ってもある程度あると思います。
東アジア的な見た目をして、日本語が話せれば、日本は安全で居心地がいいかもしれませんが、そうでない人にとっては、ひょっとしたらそうでもないかもしれません。
また、一時的に訪れるのと、住むのでは、また違った要素も出てきますよね。
下のブログは、ケープタウン、ヨハネスブルグ、プレトリア、ダーバンのいいところ、悪いところを比べています。
ケープタウンは、冬に雨が降る、水不足が深刻、ハウテン州(ヨハネスブルグやプレトリア)に比べて給与水準が低い、などが書いてあります。
プレトリアは「つまらない」笑
ヨハネスブルグは「危ない」「地形が良くない」←標高が高いし海がないということ?
ダーバンは「雇用機会が少ない」
などなど。
いろいろ複合的にみると、ヨハネスブルグもぜんぜん悪くない、と思って暮らしています。
そんな感じで、今日はこのくらいにしようと思います。
それでは。