動機はいつだって不純

南アフリカ・ヨハネスブルグで暮らすノマドワーカーのつぶやき

南アフリカの電力事情

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こんばんは(南アフリカ時間)。

今までそんなに意識的にしていなかったのですが、ロックダウンになってから毎朝南アのメディアをチェックするようになりました。

 

今日はこんな記事を見たので、南アフリカの電力事情について書こうと思います。

www.thesouthafrican.com

 

この記事にある「Load Shedding」というのが曲者なのです。

 

非電化地域が少ない南アフリカ

南アフリカは、皆さんもご存知の通り「アパルトヘイト」と呼ばれる人種隔離政策が半世紀以上に掛けて行われてきました。

 

人種差別的だとして悪名高いものですが、皮肉なことにそのころの南アフリカは、今よりも経済が良く、南アフリカランドの価値もずっと良かったといいます(主要通貨だったのもこのころ)。

 

当時の電力共有は、国の一部だけで、多くのエリアは非電化地域だったそうですが、民主化以降、田舎も含め電力がいきわたるように整備されだしました。

www.usaid.gov

このアメリカの援助機関のサイトによれば、電力普及率は86%。都会では93%が電気にアクセスできるようです。

 

こちら↓は他のアフリカ諸国の電力へのアクセス(2018)

www.wri.org

タンザニアでは4割に満たず、エチオピアでも4割を少し超えるくらい。東アフリカの大国であるケニアでも6割を超える程度。

 

data.worldbank.org

こちらの世銀のページによりと、サブサハラの電力普及率は平均で44%(2017)だって。

 

民主化と共に、運営が非効率に

と、書くと「なんだ、わりとちゃんとしているのね」と思う人もいるかもしれませんが、ぜんぜんそんなことはないんです。(残念ながら…)

 

民主化とともに、電力の供給網は広くなりました。それによって恩恵を受けた人も大勢います。

しかし、民主化と思に、それまでの電力会社ESKOMの社員は全員白人だったのですが、大勢はその職を追われ、有色人種の雇用が積極的に行われました。

 

ESKOMの運営は悪化。電力地域は増えたものの、増えた電力需要にこたえることができず、計画停電(Load Shedding)をせざるを得なくなりました。

 

頻繁に行われる計画停電

もちろん、経営や運営の不備だけでなく、単に需要が増えたこともありますが、電力供給不足は大きな問題です。

 

老朽化した施設のメンテナンスがちゃんとできていなかったり、マネジメントの問題も多くあるようです。

 

コロナウイルスが上陸する前は、週に3-4回は計画停電になっていました。

仕事に支障が出るので、コワーキングオフィスが入っているビルにはジェネレーターがついているので、たとえ夜遅くてもオフィスにいるようにしていました。

 

ロックダウン中は、停電なし

とはいえ、ロックダウン中はみんな家にいないといけない=電気は超重要、電力需要も大きく減少したので、計画停電は起こっていません。

 

冒頭に添付した記事は、ロックダウン後の計画停電の頻度が少なくなるかも、というものでした。(いや、停電なんかなしにしてほしいのが本音だが…)

 

 

こうしたオペレーションの問題は、電力会社のESKOMに限らず、南ア全体にあります。政府系組織はもちろん、民間企業もそうです。

もともとは人口の1割程度の白人のための経済やサービスが、一気に10倍ほどの国民に対して開かれたこともそうですし、それまで教育を受ける機会もなく、ホワイトカラーの職についていなかった層の引き上げは、当然ですが混乱を生んだようです。

 

民主化から今年で26年。まだ、道半ばの部分もある南アフリカ

今回のコロナウイルスやロックダウンがどう影響するか、私程度の頭じゃ想像できませんが、ヨハネスブルグからウォッチしていきたいです👀