南アフリカロックダウン、5月より緩和されました
すっかり時間が空いてしまいましたが、ヨハネスブルグからばんです。
相変わらず元気にやっています。
4月30日に無事誕生日を迎え、一つ年を取りました。
朝のランニングですっころんだところから始まりましたが、この日のために残しておいたワインを開けて、コロナ禍ではありますが、ここまで生きてきたことと、家族友人含め、周りの人に感謝しました。
去年の誕生日は、仕事でエルサレムに行っていて、東エルサレムのパレスチナ料理レストランで祝ってもらったのを覚えています。(ああ、早くいろんな国に行けるようにならないかなあ)
東エルサレムは、アラブ系の人が住むエリアなのですが、そのレストランは珍しくお酒も出してくれるところで、味も格別。また行きたいところです。
現在ロックダウンが敷かれる南アフリカでは、アルコールの売買が禁止されています。
南アフリカのロックダウンは、3月下旬に始まりました。当初21日間といわれていましたが、2週間の延期が発表され、計35日に。その35日目が誕生日にあたりました。
5月1日以降は段階的にロックダウンが緩和されていきます。
始めの5週間をレベル5として、5月1日からレベル4に入ります。各レベルがどのくらいの期間続くかはわかりませんが、感染者数や経済の影響を見て判断されるとか。
南アフリカロックダウン、レベル4って?
前回の記事で、その時に発表されていたレベル4の規制について書きました。しかし、レベル4に入る前日になって、一部変更、最終化されたものが発表されました。
・外出時はマスクの着用必須(マスクなしだとモールに入れませんでした)
・お酒とたばこの販売は引き続き禁止
・フードデリバリー解禁(デリバリーのみ、午前9時から午後7時)
・洋服の購入可能(南アフリカはこれから冬に突入するので冬服購入のニーズがある)
・ランニングやサイクリング、犬の散歩解禁(午前6時から午前9時)
・午後8時から翌朝午前5時は外出禁止
・学習に関わる書籍の購入解禁
・パソコンなどのIT機器の購入解禁
・宗教施設は引き続き封鎖
そのほか、いくつかの職業がオペレーションを開催できるようです(出勤人数の制限があるものもあります)。
たばこ解禁!という話が合ったけどダメになったことで、人々の不満は高まりそう…。
ですが、毎食何かしらを作っていたところから、UberEatsを注文できるようになることはものすごくありがたい!
南アフリカのコロナ対策
これまで、住民として生活レベルの話をしていましたが、国家レベルでのコロナ対策についてもちょっと触れておこうと思います。
南アフリカのコロナウイルス感染者数は、本日7000人を超えました。
緩和によって今後どうなっていくかはちょっと心配ですが、経済への影響を考えると、妥当なような気もします。
エジプトと競ってますが、アフリカ大陸で一番感染者数が多いです。
(他の国がどの程度正確な検査ができているかわからないので何とも言えませんが)
実は日本よりもずっと多いコロナ検査数
また、南アフリカのコロナ検査数は、日本よりもずっと多いです。
5月5日の朝の時点で257,541件。一方日本は153,581件とのこと。
ロックダウンによって、医療崩壊が防げている、という話も聞きますし、今のところポジティブな意見を聞くことが多いです。
日本の報道機関の南アフリカ情報の”誤報”
と、こんな状況なのですが、4月30日にこんな報道があったようです。
修正前:南アは治安が崩壊したのでロックダウンを解除せざるえなくなった
— 梅本優香里/Umemoto Yukari (@umemotoyukari) May 1, 2020
修正後:ロックダウンを解除した背景には略奪や暴動が相次いでいるから
ってことかな?「いや、大きくは間違ってない」と言いたい気分がにじみ出ている笑 pic.twitter.com/JJYuiDOZzJ
▼こちらに、ダーバン在住の方がまとめてくださっています。
yoshimura-mineko.sorairoan.com
(※上記ブログの犯罪数推移のグラブは、週単位のもののようです)
ようは、某報道機関は、南アフリカは治安の悪化によってロックダウンを緩和せざるを得なくなった、というような趣旨の報道をしたようです。
あれ、これ本当だったんだっけ?という話がTwitterで盛り上がってました。
南アに関する情報って、ヨハネスブルグが首都って書いてあったり(正しくは3つあるのですが、行政府のあるプレトリアが首都と表記されることが多いです)、公用語が9って書いてあるブログがあったり(正しくは11)、世界で一番犯罪数が多いなど、いろんな誤情報、あるいは数十年前の古い情報を見つけることがあります。
実際のロックダウン中の治安は?
ちなみにこちらは、在南アフリカ日本国大使館が、4月30日に出したもの。
南アの治安当局はロックダウン中の治安全般は、それ以前と比べて数値的には改善し、一般治安は悪化していないと認識しています。
そして、英語の現地メディアでも同様の情報が確認できますが、南アフリカの犯罪件数は大きく減少しています。
4 月 22 日に警察大臣が発表したところによると、警察等による街頭活動の強化により、ロックダウン期間(4 月 20 日時点)における重要凶悪犯罪の発生数は前年同時期と比較して大幅に減少しています。殺人は 72%、凶悪強盗は 69.6%減少し、凶悪強盗のうちカージャックは 80.9%、住居侵入強盗は 53.8%減少等となっています。
びっくりするほどの減少!
なのですが、70%以上も減少したのにも関わらず、殺人件数は423件/月と思うと、もともとの数にも驚愕しますが…
(1000件以上マイナスしてもまだ400以上残ってる…)
南アフリカ政府のロックダウン緩和発表でも、治安に関することって触れられてなかったように思います。
南アフリカ=治安悪い、凶悪都市みたいなステレオタイプがあったのかもしれません。(でもファクトチェック…)
南アフリカは、世界トップレベルの所得格差がある国です。コロナ以前から失業率が30%に上ります(若者に限ると50%近く、タウンシップなど一部コミュニティでは60%に上ります)。
最近出た記事では、ロックダウンの影響で、最悪失業率が50%になる可能性がある、といっているものも。
治安が悪い背景にある、こうした経済格差や失業率についてにも触れたいですね。
学生時代の出来事を思い出す
テレビの報道などは、ある程度「こんな絵をとりたい!」というものがあって、裏鳥のための取材を行うこともあると思いますが、学生時代のちょっと悲しい出来事を思い出しました。
私が学生のころ、中東地域に関わる学生団体にいたのですが、ちょうどその時にISISが台頭しており、日本人ジャーナリストが殺害される事件が起きました。
中東地域に実際に渡航して、現地の学生と学生会議を行う、という活動をしていた私たちの団体にも、新聞やテレビなど多くの取材依頼が来ました。
多くはお断りした上で、公的な資金が入っているメディアへの取材に対応。しかし、その際に長い会話の一部を切り取り「中東は危ないから、今は行かなほうがいい」と読み取れるように編集され、悲しい想いをしたのを覚えています。
(全文読むとそのような趣旨ではなかったのです)
ISIS、中東、危険、ということをリアルな取材を通して伝えたい、という前提が合ったのかもしれませんが、少し違和感を感じました。
どんな取材であれ、発信側の意図が入ることは避けられませんし、こうしたことは起こるのはある程度仕方がないのかも、と思いますが…。
地理的あるいは精神的に遠かったり、専門家が少ない分野だったり、あるいは危険・安全など、明確な指標がなく感覚的なものは、そうしたことが起きやすいのかもしれません。
どんなに遠くても、そこには人の生活がある
今や、日本国籍の方でも世界中に住んでいます。
外国籍の人と結婚したり、移住を計画していたり、アフリカに留学を夢見ている学生にもたくさん会ってきました。
そんな中、イメージだけで「危なさ」や「センセーショナルさ」を優先した外国に関する報道は、そうした人の夢をつぶしかねません。
南アフリカに住んでいる身としては、この報道を日本の家族が見たら、心配するだろうなあ、とも感じました。
外国、特にアフリカは、遠くて野蛮で日本人がほとんど行かない未開の地、というのはひと世代以上前の話ではないでしょうか?
今や、家族や友人がその地に住んでいる、という方もたくさんいます。
同じ人間が住む社会の出来事として、捉える人が増えるといいなあ、と。
コロナからはそれましたが、つぶやきでした。